下描きから完成まで、絵本づくりの“ぜんぶ”が300点
『ネコヅメのよる』『なまえのないねこ』などで知られる絵本作家・町田尚子の原画展 「隙あらば猫」 が、秋田県立近代美術館で開かれている(8月8日〜10月4日)。並ぶのは完成した原画だけでなく、ダミー本(完成前に、本の形で作る試作)やラフスケッチなど、約300点の制作資料。デビュー作から最新作まで、プロがどんな下描きから始め、どう直して1冊にしていくのか――ふだんは見えない“制作の途中”が、まるごと見られる。
この週末(8月15・16日)、東京ビッグサイトでコミケ(コミックマーケット108)が開催中。自作を手にした“つくる人”が全国から集まる、日本最大の創作の祭りだ。――でも、創作の現場は会場だけじゃない。この夏から秋、全国の美術館では、“完成した作品”ではなく、その“手前”――下描き、素材そのもの、直しの跡――を見せる展覧会がそろって開いている。プロはどこから描きはじめ、何から色をつくり、どう直して1枚に仕上げるのか。“つくり方”がまるごと見える6つを、3分で。
『ネコヅメのよる』『なまえのないねこ』などで知られる絵本作家・町田尚子の原画展 「隙あらば猫」 が、秋田県立近代美術館で開かれている(8月8日〜10月4日)。並ぶのは完成した原画だけでなく、ダミー本(完成前に、本の形で作る試作)やラフスケッチなど、約300点の制作資料。デビュー作から最新作まで、プロがどんな下描きから始め、どう直して1冊にしていくのか――ふだんは見えない“制作の途中”が、まるごと見られる。
イタリアの絵本の見本市から生まれた 「2026 イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」 が、板橋区立美術館で8月16日まで開催中(高校生以下は無料)。そのあと、西宮市大谷記念美術館(8月22日〜)など全国を巡回する。今年は94の国と地域から4,158組が応募し、日本の7人を含む33の国と地域の75組が入選。同じ“子どもの本の絵”でも、国や作家で画材も色づかいもまるで違う。水彩、版画、ミクストメディア(複数の画材・技法を混ぜて描く手法)……描き方の“正解”はひとつじゃないと、並べて見ると分かる。
近代日本画の大家・奥村土牛(おくむらとぎゅう/1889〜1990)の回顧展 「奥村土牛 ―名作でたどる100年のあゆみ―」 が、山種美術館で開かれている(開館60周年記念・8月8日〜10月4日)。代表作《鳴門》《醍醐》など約60点。土牛は、岩絵具(鉱物を砕いてつくる、日本画の絵の具)を何層も塗り重ね、深い色あいを追い求めた。101歳で亡くなるまで筆を執り、それでも「まだまだ初心」と言い続けた画家の、色との一生をたどれる。
日本民藝館の創設90年を記念した 「琉球王国の染織」 展(8月22日〜11月3日)。琉球王国(いまの沖縄)で育った 紅型(びんがた=型紙と糊で色を防ぎ、鮮やかに染め分ける沖縄の染め)や織物、約50点が並ぶ。王家・尚家ゆかりの品も。手作業で色を一色ずつ重ねてできる文様には、身分や場面ごとの“決まり”があった。色と柄が“意味”を持つ、デザインの原点のような世界だ。
根津美術館の企画展 「やきもの名品紀行 中国・日本・朝鮮半島」(8月15日〜10月12日)は、館蔵の約2,300件のやきものから名品を選りすぐり、3つの部屋で中国・日本・朝鮮半島に分けて見せる。たとえば 染付(そめつけ=白い磁器に青一色で絵付けする技法)は中国で生まれ、日本や朝鮮半島へ渡って、それぞれ別の美意識に育った。同じ技法・同じ素材でも、土地が変われば“美しさ”のかたちが変わる。
谷中のギャラリー SCAI THE BATHHOUSE で、韓国出身の作家・李禹煥(リ・ウファン)の個展 「Work on Paper / Sculpture」(8月4日〜10月10日)。紙に炭や水彩でひいた線と、石と鉄をただ置き合わせた彫刻「関係項」が並ぶ。李は、戦後日本の もの派(石・鉄・紙など“もの”そのものを主役にした美術の動き)を理論と実践で引っぱった中心人物。描き込むより、素材と余白に語らせる――“つくりすぎない”表現の強さを見せる。